建て替えリスク

建て替える場合のリスク

昭和56年以前に建った建物の耐震性は現在よりかなり緩く、検査体制がきちんと実施されていません。
ですから、阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震規模の揺れには通用せず、多くの建物が倒壊しました。現在所有している文化住宅や長屋は時限爆弾のようなものかもしれません。このような状況を鑑みると建て替えを考える方がよいかもしれませんが、建て替えるにしてもリスクはあります。

建て替える前に、建て替えの判断基準を考えてみてください。

  • 文化住宅の築年数が30年を超えている
  • 文化住宅の維持管理費が増加している
  • 空室が増えている
  • 賃料が下がっている

もし上記のようになっているのなら、建て替えがおススメです。

しかし、建て替えるとなると、立ち退き料、解体費用、建築費用がかかります。
立ち退き料は状況により様々です。新居への引っ越し費用と保証金の返還だけの場合もありますし、迷惑料や慰謝料を求められる場合もあります。立ち退き料を少しでも軽減するために、入居者と契約期間完了後に明け渡すなどの項目を追加した賃貸借契約を巻きなおしておくとよいでしょう。

次に、解体費です。立ち退きが完了すれば、建物を取り壊すことになります。建物の大きさや構造により解体費は異なります。また、立地によっても異なります。

【解体費の目安】
・木造の場合は…1坪辺り 2.5~5.5万円
・鉄骨造の場合は…1坪辺り 3~6.5万円
・鉄筋コンクリート造の場合は…1坪辺り 3.5~7万円

最後に建築費です。建築費は建てる規模の大きさ、工法により変わります。地盤改良工事が必要な場合もあります。まずは、立地、環境などを配慮してターゲットを設定し、どのような建物を建てるのかを決めなければいけません。しかし、自分ではわからないので、何社か専門業者に相談してプランを提案してもらうことです。その際に注意するのは、建築にかかる総額、利回り(収益性)です。
通常、アパートを建てる場合は銀行融資を申し込みます。その際、建築費に対する2~3割の頭金を求められます。建築費が高すぎて頭金を準備できないこともありますので、建築の総額は必ずチェックしましょう。

利回りも重要です。満室時に上がる収益(1年間)を建築総額で割った数字が利回りです。例えば、総工費1億円で年間1000万円の収益があれば、1000万÷1億=0.1で利回り10%になります。利回りの数字が高ければ高いほど収益性が良いということになります。

事例

文化住宅を解体してアパートを建てた

数社から見積

大手建設会社2社と地元建設会社から見積と提案をいただきました。
大手建設会社は、鉄骨造マンションと木造アパート、地元建設会社は鉄筋コンクリート造マンションの提案でした。

決めた理由

将来的にも売る予定がないので、しっかりとした造りの鉄筋コンクリートが良いと思っていたけれど、建築コストが高くつくと手残り収入が少なくなると思っていました。地元業者は、綿密な市場調査をした上でターゲットを選定し、それに見合う間取りやプランを提案してくれました。また、大手が提示してくれていた鉄骨造と比較して金額の差がなかったことも決め手になりました。

建築資金

数人の入居者がいたため、立ち退き料が必要でした。加えて、解体費も必要でした。
準備資金は、建築費1億円、諸経費0.1億円、解体・立ち退き料0.1億円の合計の20%を頭金として準備しました。