立ち退き

立ち退きに関するトラブルを避けるには

立ち退きを考えるケースは、以下のような時です。

  • 建て替えて資産価値を高めたい
  • 家賃滞納者など入居者の問題が多発している
  • 建て替えて自分で住みたい

立ち退き勧告をする前に、まず賃貸借契約書を確認してください。通常は、2年毎の更新になっていると思います。更新時期に「建物が老朽化しているので出て行って欲しい」と言えるかどうかです。
もし入居者側に、家賃滞納や周りに迷惑をかけている事実などの正当事由があれば言えるのですが、建物の老朽化からの倒壊の恐れなど、家主側の正当事由では100%認められず、何割かの立ち退き料の負担が出てきます。
それに加えて、新しい住居を探す費用や引っ越し費用を支払うことが多いようです。ですが、立ち退き料は必ずしも支払う必要があるものではありません。家主側の都合を一方的に主張するのではなく、入居者の事情も考慮して、お互いが歩み寄るように話し合うことができれば、立ち退き料なしで退居してくれる場合もあります。

事例

入居時の契約書ひとつで立ち退き料0円を実現

物件と入居者

築55年の文化住宅で、入居者は4名(住居利用1、事務所利用1、スナック2)。高槻地震や大型台風の影響で外壁が崩れたため補修をした。老朽化に伴って水道管も破裂、都度、修繕を行っていた。

家主の意向

修繕費がかさみ、これ以上、物件の維持が難しい。将来、相続のことも考えて鉄筋コンクリート造の建物にしたい。

立ち退き時のトラブル

スナックの店主は80代の女性で、一旦は立ち退きを了承してくれましたが、希望エリアで次の店舗の条件に合う物件が見つからず難航していました。
物件探しが長引いたことで店主の息子が交渉に入り、次の店舗の開店準備資金や広告費など、計1000万円を要求してきました。
折り合いがつかず交渉を継続していた時に、再度賃貸契約書を見直したところ、「立ち退き料は受け取らない」という記載を発見。特記事項への捺印もありました。
弁護士に相談して特記事項の効力は有効であることを確認し、契約書の内容を店主と息子に提示したところ、受け入れてくれました。家主は、先代から入居してくれていたこともあり、預かり金全額を返還して立ち退きは終了しました。立ち退きに要する期間は想定では半年でしたが、トラブルが発生したため結局1年半ほどかかりました。

立ち退きに要した費用

入居者と事務所使用者に転居時の初期費用と引っ越し費用。スナック1軒には立ち退き料と引っ越し費用、開店準備の初期費用の一部。もう1軒のスナックは何もなし。上記4軒には入居時の預かり金を変換した。
立ち退きにかかった総額は、250万円と少ない出費で済んだ。

立ち退き完了後の活用

賃貸マンション(鉄筋コンクリート造)建設、3階建9室(1室30㎡程度)